CEFI REPORT
 

「学校」の必要性を痛感!
働く子どもたちの心を育てる場

 カブールにSave The ChildrenなどのNGOの支援で運営されているアシアナというストリート・チルドレンのためのフリー・スクールがあります。ここには一昨年、皆さまからお預かりした支援金を渡して、教育支援をしました。
 今年、そのアシアナを訪れ、学校に来ているストリート・チルドレンの男の子や女の子の働く姿、学校で勉強する姿を取材させてもらいました。その中のひとり10歳のファリッド君は、バザールで靴をみがいて働いています。彼は午前中アシアナで授業を受け、給食を食べて、午後はバザールで働きます。時には大人たちを相手に丁々発止のやりとりをしたり、バザールをパトロールする警官にどなられたりしながらも、お客さんを探して歩く後ろ姿には、10歳とは思えない生きる力を感じます。
 しかし、町の喧騒を壁ひとつでさえぎったアシアナの校内に入ると、ファリッドには10歳の少年の顔がありました。学校ではみんなが同じ教科書をもち、同じ給食を与えられ、細かい生活指導などの注意を受けます。新しいことを学ぶ楽しさ、同じくらいの年齢の友だちがそばにいるうれしさ。彼にとって学校に行く時間はとても誇らしい時間です。学校ではいていたきれいなズボンを、バザールに出る前に仕事用の汚れたズボンにはきかえたファリッドは、その時点から一足の靴を磨いて3アフガニー(約7円)を稼ぎだす小さな労働者へと心のスイッチを切り替えているかのようでした。
 学校がストリート・チルドレンにとって、「心」を育てる安らぎの場であることは、一目瞭然です。世界中でいちばん貧しいといわれるこの国で、「学校」というものの本質を見たような気がします。

アシアナに1か月2,000USD、
1年24,000USD(約290万円)の支援

 ストリート・チルドレンにとってかけがえのない存在であるアシアナを、引き続き支援していこうと考えています。アシアナの代表者エンジニア・ユスフ氏と話し合った結果、女性の経済的な自立を早く促すことのできるコースとして美容師のコースや、長い戦乱で継承できないでいた伝統音楽のクラスを充実したいという要望を受けました。
 私たち国際子ども教育基金はアシアナとの間に1か月2,000USDの支援を約束しました。これに対して、アシアナは訓練士、教師合わせて11名を雇い入れ、子どもたちの教育にあたるという覚書を我々に渡してくれました。

▲1人の靴をみがいて稼ぐ3アフガニー(1アフガニーは約2.5円)と、主食のナン1枚が同じ料金だ。 ▲ファリッドの父親は彼が5歳のときに病死した。今は彼と兄の2人が働き、家族5人が生活している。
▲地雷などについて学ぶ「安全教育」の時間のファリッド少年。
▲バザールで、アシアナのソーシャルワーカーが、警官に「アシアナの子どもたちの面倒を見てあげて」と頼んでいた。
▲お母さんの焼いた「ブロウニ」というピザを売り歩く少女。1日、50枚くらい売るという。
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