「忍従の生活」からの自立は識字教育から
モバイル・ワークショップが行う母親の識字教育に一番壁となったのが、男性の理解の無さや古い風習などです。
例えば、ワイスラバードと呼ばれる地域。ここは不法占拠した斜面に日干し煉瓦を積み上げて自分たちで家を作り、新しい生活を作りあげようとする意欲が見えるIDPキャンプでした。ところが、私たちが会ったグループの代表者は開口一番「女性に教育は必要ない!」の一点ばり。
あごに長い髭をたくわえ、彫りの深い顔立ちをした代表者の前では、キャンプで暮らす人々は誰も異論をとなえることができないのです。同行してくれた共同通信カブール支局の特派員安井浩美さんが、ダリ語で彼らと激論を交わします。延々2時間の議論は何度も振り出しに戻ります。
向村も彼らが尊敬するマスードのことを話します。「マスードは男も女も同じように教育を受け、働かなければアフガニスタンは再建できないといって死んでいったんじゃないのか。マスードはあなたたちと同じパンシール地方の出身。パンシールの人間がアフガンを変えていかなければ誰がこの国を変えられるんだ」口角泡を飛ばすとはこのこと。この話がきいたかきかないか定かではありませんが、気付いたときは、「やってみようか」という話の流れになっていたのです。
アフガニスタンのことはアフガニスタン人の手で
モバイル・ワークショップ立ち上げに奔走しているときに、全アフガン婦人連盟というアフガン女性の地位向上や自立の手助けをしている団体に出会いました。「アフガニスタンのことはアフガニスタンの手で行う」という我々の支援の基本を守り、クラスのプログラムや運用に関しては、この全アフガン婦人連盟にまかせることに決定。
モバイル・ワークショップで実際の指導をする先生をフルタイムで女性4人、男性1人、それにソーシャルワーカー(パートタイム)1人、ドライバー兼護衛役1人の合計7人を雇うことにしました。先生の給料と4クラスの運営経費など一切で1か月2600USD(約31万円)がかかります。
CEFIは、共同通信の安井浩美さんの元に支援金を預け、毎月、成果や報告と引き換えに、団体にお金を渡すシステムにしました。皆さまからの支援金を有効に役立てるためにも、慎重に進める必要があります。運用に関しては口出しをせず、しかし厳しく見守っていく。CEFIは活動をささえる支援金調達を続けていくつもりです。
これからも、皆様の御協力をよろしくお願いいたします。
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